V6の元メンバーというアイドルとしての顔を持ちながら、今や日本を代表するアクション俳優として確固たる地位を築いている岡田准一さん。
彼のアクションの裏には、ジークンドーをはじめとする武術の修練が密接に関わっています。
特に2007年から2008年にかけて放送された連続ドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」をきっかけに本格的な武術の道を歩み始めた岡田さんは、カリ、ジークンドー、USA修斗という3つの格闘技のインストラクター認定を受け、その技術を映画のアクションシーンに昇華させています。
今回は、
- ジークンドーの技術がどのように映画アクションに活かされているか
- 岡田准一が手がけた映画でのアクションシーンの特徴
- 俳優兼アクション監修者という二足のわらじの難しさと魅力
これらについて紹介します。
それでは行きましょう!
ジークンドーの技術がどのように映画アクションに活かされているか

岡田准一さんがジークンドーを始めたきっかけは、2007年のドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』でした。
このドラマで本格的なアクションを求められた彼は、世界中の格闘技・武術を調べ、その中でも接近戦の技があるフィリピンの伝統武術のカリとともに、ジークンドーの習得を開始したそうです。
世界中の格闘技・武術を調べ、なかでも接近戦の技があるフィリピンの伝統武術・カリを習い始めた。そこからジークンドー、修斗へと広げ、いまではインストラクター資格を複数取得するまでに。
出典:Real Sound
ジークンドーは、ブルース・リーが創始した武術で、様々な武術から実戦的な技術を抽出・統合した総合的な格闘技です。
その特徴は、無駄を省き、最短距離で相手を制圧する効率的な動きにあります。
この哲学は、映画のアクションシーンに求められる「見栄えの良さ」と「実戦性」を両立させるのに最適だったようです。
2022年公開の映画『ヘルドッグス』では、岡田さんは主演と同時にアクション振り付けも担当しました。
特に注目すべきは、岡田さんのアクションが単なる格闘シーンではなく、物語の一部として機能していることです。
ジークンドーの「必要最小限の動きで最大の効果を得る」という思想は、映画という限られた時間の中で効果的にアクションを見せる上で非常に重要な要素として機能しているようです。
原田眞人監督は、岡田さんの豊富なアクションの引き出しに驚嘆し、次々とアクションを提案してくれると評価していたそうです。
岡田から数々の提案を受けてきた原田監督は、 「岡田くんは、こういうアクションができます、こういうのもできますって、まるで死の商人が武器を売るように、次から次へとアクションをプレゼンテーションしてくれる。改めて、その引き出しの多さに驚きました」 と岡田への絶大な信頼を明かしている。
出典:otocoto
今回岡田は、主演でありながら技闘デザイン(アクション振り付け)指導としても本作に参加しており、映画で描かれるアクションの数々を原田監督にプレゼンしたそう。
岡田准一が手がけた映画でのアクションシーンの特徴

岡田准一さんが手がけるアクションシーンには、明確な特徴があります。
まず、そのリアリティの高さです。
カリ、ジークンドー、USA修斗という3つの格闘技でインストラクター資格を持つ彼のアクションは、単なる見せかけの殺陣ではなく、実戦で使える技術に裏打ちされています。
『ヘルドッグス』では、素手の格闘から身の回りの物を使った戦闘、さらには銃やナイフを使ったアクションまで、多彩なスタイルが披露されました。
これらのアクションは、それぞれのキャラクターの性格や状況に応じて使い分けられており、ストーリーと密接に結びついています。
劇中、岡田准一演じる兼高や坂口健太郎演じる室岡らが、敵をバッタバッタとなぎ倒す珠玉のアクションシーンが息つく暇もなく詰め込まれており、素手で相手を圧倒する基本の格闘術【ステゴロ】、使える物はなんでも使う作法無用の戦闘スタイル【工具&文具】、これは絶対外せない、お待ちかねの【ナイフ&ガンアクション】と、それぞれの格闘術にあわせたアクション映像が映し出されていく。
出典:otocoto
さらに、岡田さんは俳優としての演技力をアクションに融合させることに長けています。
原田眞人監督が求める「芝居の延長線上のアクション」を実現するため、感情表現とアクションを一体化させた演出を心がけています。
「原田監督はお芝居の延長線上でのアクションを強く求める監督。お芝居とアクションの境目なくキャラクターが立つような構成を考案することがテーマになります。本物の動きのなかに映像的なギミックを入れたり、キャラクターの個性やそのキャラクターの行動の狙いにあった動きを考えて提案しています」
出典:otocoto
『ザ・ファブル』シリーズでは、ファイトコレオグラファーとしても活躍し、シリアスなアクションにコミカルな要素を加えることで、エンターテインメント性の高い作品を創り上げました。
このような柔軟性も、彼の大きな魅力の一つです。
俳優兼アクション監修者という二足のわらじの難しさと魅力

俳優として演技をしながら、同時にアクション監修も手がける岡田さん。
俳優とアクション監修者を同時にこなすことは、非常に高度な技術を要求されます。
俳優として役に没入しながら、同時に全体のアクションシーンを俯瞰的に見る必要があるからです。
しかし、この二重の役割を果たすことで生まれる利点も大きいものがあります。
共演者たちから厚い信頼を寄せられ、岡田さんのアクション指導を受けることを望む俳優も多いそうです。
そのこだわり抜かれたアクションと、ストイックな姿勢は多くの共演者たちからの信望も厚く、多くの俳優たちが岡田を師と仰ぎ、そのアクションの薫陶を受けてきた。
出典:HOMINIS
実際に演じる立場を理解しているからこそ、より実践的で効果的なアドバイスができるのでしょうね。
岡田さんは現在40代となり、「世界に売れるエンタメ」を目指して挑戦を続けています。
日本のアクション映画を世界に通用するレベルまで引き上げたいという強い意志を持ち、日々研鑽を積んでいます。
人気コミック『ザ・ファブル』の映画化第2弾となる『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』では、主演のみならず、ファイトコレオグラファー(殺陣の振付師)としてクレジットされている岡田が、「世界に売れる日本のアクションを!」と熱い思いを語った。
出典:クランクイン!
日本映画界の重鎮たちからも高い評価を受けており、故・降旗康男監督は岡田さんに対して「健さんを継ぐ俳優になってほしい」とエールを送っていたそうです。
そんな降旗監督は遺作となった『追憶』(カメラマンは木村大作)に主演した岡田准一に対して「健さんを継ぐ俳優になってほしい」と語りました。
出典:シネマトゥデイ
このような期待に応えるべく、彼は俳優としても武術家としても、さらなる高みを目指し続けています。
まとめ
岡田准一さんのジークンドーをはじめとする武術の習得と、それを映画アクションに昇華させる技術は、日本映画界に新たな風を吹き込んでいます。
単なるアクション俳優ではなく、武術家としての確かな技術と俳優としての表現力を併せ持つ彼の存在は、日本のアクション映画の可能性を大きく広げています。
俳優兼アクション監修者という困難な道を選び、それを見事に両立させている岡田准一さん。
その姿勢は、「まだまだ道の途中です」という謙虚な言葉とは裏腹に、すでに日本映画界における大きな存在となっています。
今後も岡田准一さんが、ジークンドーの精神をベースとした革新的なアクションで、観客を魅了し続けることは間違いないでしょう。
世界に通用する日本のアクション映画を目指す彼の挑戦は、これからも続いていくはずです。
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